Advent Selection じんわりと心にあたたかいクリスマスの楽しみ。

Book

すぐそばにある、果てしない世界

2009.12.6

default_book1206プロキシマという星をご存じですか? ケンタウルス座に属し、ずっと南にある星で、主星が明るいため見つけにくく、日本からは見ることのできない星です。

この「プロキシマ」はラテン語で「すぐそば・最も近い」という意味で、太陽系に一番近い恒星なのだそう。でも、その距離は地球から太陽までの距離のおよそ27万倍。無人探査機のボイジャーで7万年、有人で最も速いアポロ宇宙船で12万年以上かかる距離にあるといいますから、あらためて、宇宙のスケール感に驚かされます。

そんな一番近くて、果てしなく遠い星の名前を冠した「PROXIMA;INVISIBLE NUPTIALS(プロキシマ;見えない婚礼)」という展覧会が9年前に開催されました。アーティスト、小林健二さんのこの展覧会場には、やわらかな光や、かすかな音、いい香り、文字、色、鉱石や電波の受信機などの作品の数々が並び、さながら不思議で美しい実験室のよう。子供の頃から持ち続けた天体や科学への好奇心をそのままに、結晶のように現出される表現世界は、深い記憶に眠る太古の夢のような、彼方の過去から続く未来への時間の感覚のようなイメージがひしめいて、強さや、やすらぎや、あらたなインスピレーションを与えてくれるようです。

同タイトルの本書「PROXIMA;INVISIBLE NUPTIALS(プロキシマ;見えない婚礼)」には、小林健二さんのこの展覧会の作品に加え、1977年から2001年までの作品、インタビューと豊富な写真で、その魅力がぎっしり詰まっています。ページを開くと、折り込まれた宇宙が広がり、澄み切った少年のような視線と、生命のはるかな流れにハッと気づかされるはず。

すぐそばにある、果てしない世界。静かなアドベントの夜に、美しい冬の星空の世界を眺めるようにじっくりと読みたい一冊。贈り物にも喜ばれそうな、キラリと光る特殊な布貼り装丁の美しい本です。

PROXIMA
著者:小林健二
発行:三菱知所アルティアム
サイズ:216mm×154mm×23mm 196P
仕様:ハードカバー/カラー&モノクロページ
http://www.skky.info/itohen/books/index.html
:::: 小林健二 ::::
1957年東京新橋田村町に生まれる。’77年より絵画、立体、インスタレーション、映像、音楽などジャンルにとらわれない自由な表現と、その根底を流れる一貫したメッセージを持つ創作活動で知られる。著書に作品集「AION」(用美社)、「みづいろ」(松明堂極光書房)、「ぼくらの鉱石ラジオ」(筑摩書房),「PROXIMA」(銀河通信社)などがあり、その他鉱物をはじめ大好きなものを題材にした「FAVORITES」(工作舎)、誰もが一度は憧れるかも知れない自分だけの工作室を思って構想された「少年達の工作室」(河出書房新社)なども執筆中である。
2009,11/14-12/12
小林健二展「PERSRY-ガラス体の日常-」 @ Gallery MORYTA(ギャラリーモリター)
http://www.g-morita.com/html/exhibit/past/2009/perspy.html